縄文時代末期とみられる土器の破片や住居の柱穴が発掘された深角集落。室町時代建立の宝篋印塔や、織田信長子孫の織田杢之氶・半兵兄弟のうち半兵終焉の地であること、遠く東北の地の団七踊りが伝統芸能として受け継がれているなど、教科書には載らないが知ると面白い日本史の断片が散りばめられた興味深い集落です。
この日は風が終始強く吹いていたが、おかげで予報の出ていた黄砂が吹き飛ばされ視界良好、撮影にはうってつけでした。
案内人は、森林セラピストにして深角人の甲斐安忠さん。
まずは棚田遺産認定を宮崎県から受けたという石垣の棚田へ。田植えに備えて水を張る田んぼはまだのようだが、石垣の佇まいは見事。背後には、昨年開通した九州中央道。新旧の構造物が不思議に調和しているのも印象的。こうした営みと風景が今後とも継続されることを願ってやみません。
コースのあちこちに点在する遺跡の数々、国蝶でもあるオオムラサキが時期になると飛び回る貴重な場所もコースにあるのもレア。安忠さんの森林セラピストとしての草木説明がまた、参加者には好評でした。
坂道を上り下りし、集落の心の拠りどころである深角神社へ。神社の裏手に、先述の織田信長子孫の織田半兵の墓所が慎ましく建立されています。
神社から、国道218号に。ここでも武者返しが見事な田んぼの石垣や、肥後南関の石工が腕をふるっただろう石の蔵などを見つつ、すっかり打ち解けた参加者らで談笑しながら歩きました。途中でツツジの素晴らしいお宅の庭があり、こちらでも集合写真を。安忠さんの同級生のご自宅でもあり、こうした繋がりがフットパスを実り多いものにしています。
団七の館に戻り、車を分乗して昼食会場である居酒屋左近に移動。タラの芽など筍の天ぷらや煮付け、葉ワサビや左近名物の豚足の唐揚げなど、ここでしか食べられないお昼に、誰もが満足していました。