2022秋づく!フットパス五ヶ瀬・宮野原コース報告

投稿日:2022年10月26日 更新日:

五ヶ瀬・宮野原コース

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環境省における国立・国定公園での利用拠点を活用した自然体験プログラム推進事業としてのフォレストピアフットパス2022年秋の開催。その最初は五ヶ瀬町の宮野原地区。日本棚田百選に選出の鳥の巣棚田を中心に、付近の集落や小径を巡るコースです。 本コースの見ものは五ヶ瀬町の町樹と言っても差し支えない枝垂桜。江戸時代に地元宮野原の浄専寺の僧侶が京都から持ち帰り、その苗木を65年前の五ヶ瀬町誕生の際に町民に分け与え、町内のあちこちに植林した桜が時を経て見事な成樹として咲き誇る様子は見事であり、五ヶ瀬町春の観光名所として定着しています。
一方で秋の紅葉はまた素晴らしく、こちらの人気も相当なものだったりします。加えて、棚田に広がる収穫された米の掛け干し風景もまた、里山の原風景として人気です。
参加者は9名。受付時に検温と手の消毒を徹底し、特に足首の柔軟体操をしてスタート。集合写真の時を除き、全員がマスク着用のお願いしたのだが、誰もがこころよく従っていただけたこともあり、安全なフットパスと相成りました。
案内人は地元を熟知する宮本紀昭さん(82歳)。コース自体は配布マップにあるけれど、天候や開催日の状況を鑑みて、宮本さんがその日に最もふさわしい順路を選定するという柔軟性があるのもまたフットパスの特徴です。特に今年は、秋に大きな台風が襲いあちこちで土砂崩れが発生したこともあって、事前に歩かれて安全なコースを決めたという話をうかがいました。
まず向かったのは浄専寺。そろそろ紅葉が始まっており、樹木によっては真っ赤に染まっていました。前述の枝垂桜は、文字どおり枝だけを柳のように垂れさせていたのだが、そんな様子も初めて見る参加者が多く、足を止めて枝を観察したり写真に収めたりしていました。
寺の背後に伸びる、用水路に沿った地元道から斜面を登り、鳥の巣棚田に。途中に、台風の被害を物語る斜面崩壊の跡があり、参加者も含めて大自然が牙をむいた際の恐ろしさを目の当たりにさせられたものでした。
畦道の途中で宮本さんの幼馴染の方がサツマイモの収穫作業をしており、そういう方との挨拶などができるのもまた、フットパスの意義としては非常に大きいといえるでしょう。
棚田に入る前に用水路に沿った小道を途中まで進むと、杉の樹木を伐採したことで視界の広がった場所がありました。ここからは遠く阿蘇の外輪山や阿蘇五岳を望むことができました。
鳥の巣棚田は日本の棚田百選にも選出されていますが、実は7年前までは葦やススキで踏み入る余地のない耕作放棄地。そこを、宮本さんを中心とした地元の方々が半年かけて再開墾し、新しい特産品に育て上げることを目標に、スイートスプリングという生食可能な甘いトウモロコシを毎年5月〜8月にかけて栽培・収穫していたのです。
高齢化のあおりを受けて、そんな光景は今年で見納め。7枚の畑の一部には、後を継いで栽培に取り組む人が見つかるまで、荒らしてはならないと土壌の保持の目的で宮本さんが白菜他を移植していました。収穫は11月中旬あたり。
「もし欲しい方がいらっしゃればお分けしますよ」と、宮本さんが和やかにおっしゃってくださった。
鳥の巣棚田を取り囲むように、その頂には宮崎県指定の第1号古墳があり眺望の素晴らしい場所でもあります。奥様が差し入れしてくれたよもぎ饅頭のおやつをいただきながら、短い休憩時間を設けました。できたてでまだ中の餡子に温もりがあり、感動する参加者がほとんどでした。
昼食先である「ふれあいの里」へ。煮しめ料理の名手として、地こんにゃく職人として、町内外に熱狂的なファンのいる宮本さんの奥様アサ子さんの手によるお弁当をいただきました。煮しめは2日前から仕込み、おにぎりに使われた米は10月初旬に収穫した宮本さんの田んぼのピカピカな新米、さらにデザートとしてご自身の畑で収穫した落花生の塩茹で、そして鳥の巣棚田で夏までに収穫を終え一部を冷凍保管していた絶品トウモロコシが届き、感動に拍車がかかったのは皆のほころんだ顔を見るだけで明らかでした。
話が弾み、1人1人の感想にも気持ちがこもり、団欒の時間は午後2時にようやく解散となりました。

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