2022秋づく!フットパス:椎葉・十根川コース報告

投稿日:2022年11月1日 更新日:

椎葉・十根川コース

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開催2コース目は日本三大秘境として全国的に名高い椎葉村の十根川地区でした。
言い伝えでは十根川集落は1204年、平家の落人たちが、壇ノ浦から逃げ延びて隠住し建立した十根川神社と、平成10年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された、黒光りする石州瓦に統一された民家と武者返しの石垣が織りなす佇まいの、見事な集落景観で成り立っています。
参加者は9名。五ヶ瀬町内や宮崎県内からにとどまらず、大分県や熊本県、最も遠くからだと北九州市から朝3時半に出発してくださった参加者がいるなど、椎葉村の訴求力が非常に強いことを物語っていました。案内は集落で生まれ育った那須さん。案内ばかりでなく、実家の母屋を開放しておやつ休憩所としてもご提供いただきました。
十根川集落入口にある観光駐車場がコースの起点。コースの道は、普段は十根川神社の参道として、あるいは地元住人のための農作業道でもある。観光駐車場は現在、台風14号の被害を受けた家屋から運び出された家具類の集積場としても使われていました。台風の爪痕はコースのあちこちで散見されており、那須さんからは当日の模様や通過後の被害についてもお話を聞き、参加者は改めて自然の猛威について、意識を新たにさせられたものでした。
十根川神社の境内に入ると、国の重要伝統的建造物群に行く前の屈指の撮影ポイントである御神木「八村(やむら)スギ」が、圧倒的迫力を伴って眼前にあらわれる。那須大八郎宗久が手生け討伐の折、手植えしたと言われ、樹齢約800年、高さ約55m(全国2位)、根周り19m(同4位)のスケールには、誰もが圧倒されていました。毎年12月に神殿で奉納される国指定重要無形民族文化財「十根川神楽」は、コロナ禍による2年間の中止を余儀なくされたものの、今年は復活の動きがあるようです。
十根川神社を出た後は、いよいよ十根川集落のメインコースに。
集落内は、石の階段と石垣に沿って続く細道をくねくねと進む文字通りの小径(path)。途中途中に、径なのか私有地なのか判然としないような場所があり、イベント時でない場合は、住む人に一声かけてから横切らせてもらうなど、フットパス発祥の国である英国本来の歩き方「持ち主と歩く交渉をする」を堪能できるコース。そんな交渉ごとがまた同時に、住人との挨拶や交流の機会を与えられるなど、意義の高い内容となっている点が大きいと言えるでしょう。
加えて、住民の那須さんが案内をしてくださったことで、見かけた数名の方々との非常に親密な交流が生まれたのも、参加者には好評だったのは言うまでもありません。
那須さんの実家は集落の最上部に位置し、眺望が素晴らしく感動もの。また土間のまま保存されているスペースでお餅とお茶、そして漬物などの手製おやつをいただいたのですが、どれも美味しく、お昼の事をうっかり忘れてしまう参加者がいたりしたのも、おもてなしのあらわれとして好評でした。
さて、ここからは下りです。坂道と階段を使い、家々の庭先を時には横切りながら国の重要伝統的建造物群を抜けて、棚田の脇を通りながら観光駐車場へ。棚田の崖も立派な武者返しの石垣であり、近所に石切り場があって、そこに熊本城の石垣を造った石工職人らが目をつけて移住し、熊本城に劣らぬ立派な石垣を造ったにちがいないという歴史ロマン話で大いに盛り上がりました。
全コースを回り終わって、お昼の会場である「よこい処しいば屋」さんへ移動。
鶴富屋敷の真下にあり、椎葉の蕎麦粉を使った鴨肉入り蕎麦のランチは観光客に大評判。また、若いあと取りが考案した豆乳プリンがデザートに着くという贅沢ランチ。参加者は皆、こんな美味しい蕎麦は食べたことがないと、ここでも大好評。椎葉の新しい特産品として開発された各種バターサンドを、あらかじめ検索して知っていた参加者が食後に買い求めようとしていたのですが、残念ながら休業日。それでも皆、満足感は大きく円満な解散となったのでした。

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